選び方・比較

消防設備点検の委託範囲|発注者が確認する点検・報告・是正の区分

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

消防設備点検の委託範囲は、点検、報告、指摘後の対応を別々の確認項目として整理します。 消防設備点検の委託範囲を確認する順序 を決めると、物件ごとの差を残したまま必要な情報を共有できます。建物の名称だけで判断せず、用途、設備、記録、関係者を対応させて整理することが出発点です。

「点検を依頼すれば、報告や指摘後の対応まで同じ範囲に入るのか」と迷うときは、確認する情報の役割が混ざっていることがあります。建物の使われ方と設備名を分け、過去の記録を現在の物件情報へ戻すと、次に確かめる項目が見えます。

発注する側が依頼前に照合する行為の区分と記録の見方を整理します。 消防法第17条の3の3、消防法施行令及び消防法施行規則に示される関係者、点検、報告の考え方を、発注する側の確認項目として整理します。

本記事で分かること

  • 点検と報告を区別する理由
  • 設備別に確認する範囲
  • 指摘後の記録の見方

結論:消防設備点検の委託範囲(早見表)

消防設備点検の委託範囲とは、点検、報告、指摘後の対応を別々に照合する発注条件です。

確認する面整理する情報見る理由
点検設備の外観や作動を確認する行為機器点検と総合点検の対象
報告点検結果を報告する行為用途区分に応じた周期
指摘後の対応不具合の経過を確認する行為点検結果と整備の記録

消防設備点検の委託範囲は、点検、報告、指摘後の対応を別々の確認項目として整理します。最初に用途と設備を物件情報へ戻し、次に記録と関係者の所在を確認すると、情報の抜けを見つけやすくなります。関連する基礎は、消防設備点検の業者選びも確認してください。

消防設備点検の委託範囲の早見表と建物情報を整理する図
消防設備点検の委託範囲の早見表と建物情報を整理する図

点検・報告・整備を別の範囲として読む

三つの行為を分けると、依頼する内容と保管する資料の役割が見えます。建物名や資料名だけで処理せず、物件の用途、設備、記録と対応させることで、確認の根拠が分かります。

点検は設備の状態を確かめる行為

消防法第17条の3の3では、消防用設備等を点検することが定められています。点検は設備が備えられているか、外観や簡単な操作に異常がないか、必要な機能を果たせるかを確認する行為として整理します。機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごとに行うこととされています。この情報を消防設備点検の委託範囲の項目として残すと、別の建物や別の記録と混同せずに確認できます。

報告は点検結果とは別に扱う

報告は、点検した結果を所轄消防長又は消防署長へ届ける行為です。報告の周期は防火対象物の用途区分によって1年又は3年に分かれるため、点検の周期と同じ言葉で扱わないようにします。用途別の報告周期は消防法施行規則第31条の6で定められています。この情報を消防設備点検の委託範囲の項目として残すと、別の建物や別の記録と混同せずに確認できます。

点検・報告・整備を別の範囲として読む図
点検・報告・整備を別の範囲として読む図

設備別の点検組合せを示す

設備名ごとに確認の組合せを読むと、範囲を一括りにしないで済みます。建物名や資料名だけで処理せず、物件の用途、設備、記録と対応させることで、確認の根拠が分かります。

消火器と誘導灯は機器点検の対象として見る

消火器、誘導灯、誘導標識は、平成16年消防庁告示第9号で機器点検の対象とされています。これらの設備があることを設備一覧に残し、総合点検を行う設備と同じ欄に混ぜないようにします。設備名の違いが確認内容の違いにつながります。この情報を消防設備点検の委託範囲の項目として残すと、別の建物や別の記録と混同せずに確認できます。

自動火災報知設備は二つの点検を対応させる

自動火災報知設備は、機器点検と総合点検の両方を行う設備として整理します。感知器などの構成要素を含めて設備名を確認すると、依頼範囲を説明する際に、確認の組合せを示しやすくなります。消防法施行規則と平成16年消防庁告示第9号の対象設備を照合します。この情報を消防設備点検の委託範囲の項目として残すと、別の建物や別の記録と混同せずに確認できます。

設備別の点検組合せを示す図
設備別の点検組合せを示す図

指摘後の経過を発注条件から分ける

点検で示された内容と、その後の整備の経過を分けて確認します。建物名や資料名だけで処理せず、物件の用途、設備、記録と対応させることで、確認の根拠が分かります。

不具合の内容を点検結果として残す

点検結果には、その時点で確認した設備の状態や指摘事項が残ります。発注する側は、前回どの設備が確認対象だったかをたどり、今回の利用状況や設備名に変化がないかを照合します。点検結果は、次の点検内容を確認する材料になります。この情報を消防設備点検の委託範囲の項目として残すと、別の建物や別の記録と混同せずに確認できます。

工事又は整備の経過を別の記録で追う

工事又は整備の経過は、点検結果と同じ意味ではありません。維持台帳に残る資料を確認するときは、点検で確認された内容と、設備の状態に関する経過を別の項目として読み分けます。消防法施行規則第31条の6は、維持台帳に工事又は整備の経過を記録することとしています。この情報を消防設備点検の委託範囲の項目として残すと、別の建物や別の記録と混同せずに確認できます。

指摘後の経過を発注条件から分ける図
指摘後の経過を発注条件から分ける図
消防設備点検の委託範囲で関係者と記録を対応させる図
消防設備点検の委託範囲で関係者と記録を対応させる図

委託範囲を確認する資料には、設備名、点検の種類、報告の写し、指摘後の整備の経過を対応させます。消火器、誘導灯、自動火災報知設備のように点検の組合せが違う設備は、点検結果の対象を設備名ごとに分けます。報告に関する記録と工事又は整備の経過を別の欄で見ると、点検で確認した内容とその後の記録を混同しにくくなります。建物又は利用部分の変更がある場合は、以前の記録と現在の設備名を対応させ、どの時点の委託範囲かを区別します。

委託範囲を物件情報へ整理する順序は、第一に建物又は利用部分、第二に設備名、第三に点検の種類、第四に報告の写しと整備の経過を対応させることです。消火器、誘導灯、自動火災報知設備のように設備別の点検組合せが異なるものは、設備名を省略せず記録します。点検結果に残る内容は確認時点の設備情報として、報告の写しは用途区分に関する資料として、整備の経過は別の記録として読みます。三つの資料を一つの依頼範囲として扱わないことで、発注する側が確認する項目を分けられます。

点検、報告、指摘後の整備を確認するときは、同じ設備に関する資料でも役割を分けます。点検結果は確認時点の設備情報、報告の写しは報告に関する経過、工事又は整備の経過は設備の状態の変化をたどる材料です。これらを設備名、利用部分、確認時点と対応させると、委託範囲に関する確認を整理できます。

範囲を整理する際は、点検の対象となる設備名、点検の種類、報告の写し、整備の経過を別の欄に置きます。自動火災報知設備のように機器点検と総合点検の両方を確認する設備は、消火器や誘導灯と同じ説明にまとめず、設備別の組合せを確認します。記録の種類を分けると、発注する側が確認したい内容を物件情報へ戻して整理できます。

委託範囲を整理するときは、点検、報告、指摘後の整備を同じ言葉でまとめないことが出発点です。点検結果は確認時点の設備の状態をたどる材料であり、報告の写しは報告に関する経過を確認する材料です。工事又は整備の経過は、設備にどのような対応があったかを読み取る記録になります。資料の名前だけで一つの範囲に入れるのではなく、どの設備、どの利用部分、どの時点に結び付くかを分けると、発注者側で確認したい内容を明らかにできます。

設備別の確認では、消火器、誘導灯、自動火災報知設備のように、設置場所や記録の残り方が異なるものを同じ欄に押し込めません。物件内の利用部分と設備名を対応させ、機器点検、総合点検、報告の写し、整備の経過をそれぞれ別の項目として並べます。こうすると、資料の有無だけでなく、どの確認が済み、どの情報を関係者へ尋ねる必要があるかを分けられます。範囲の確認は、点検の実施内容を発注者が決めるためではなく、物件情報と記録の関係を伝える準備として扱います。

複数の利用部分がある建物では、一部の記録を建物全体の記録として扱わない配慮も必要です。店舗部分の設備記録、共用部の記録、住居部分の情報が混在すると、報告周期や点検の種類を誤って同じものと見なしやすくなります。現在の利用状況を確認し、資料に記された設備名と設置場所を戻して読むと、委託範囲の説明に必要な項目を絞れます。確認事項を分けた状態で残すことで、後から資料が見つかった場合にも、どの範囲へ追加するかをたどれます。

まとめ

消防設備点検の委託範囲は、点検、報告、指摘後の対応を別々の確認項目として整理します。用途、設備、記録、関係者を別々に確認しながら物件情報へ対応させると、依頼する内容を整理しやすくなります。前回の説明をそのまま使わず、現在の利用状況と記録を照合することが大切です。

消防設備点検の依頼前確認、消防設備点検の義務者と関係者、消防設備点検の記事一覧を参照し、確認項目を物件ごとに整理してください。

よくある質問

Q. 点検と報告は同じ時期に行うものですか
機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごとに行うこととされています。一方、報告の周期は用途区分により1年又は3年に分かれるため、同じ時期かどうかではなく、それぞれの行為と記録を分けて確認します。
Q. 報告の写しは誰が保管しますか
消防法施行規則第31条の6では、報告の写しを維持台帳へ記録することとされています。所有者、管理者又は占有者のうち、建物の記録を保管している関係者が所在を確認し、点検結果と対応させておくことが役立ちます。
Q. 指摘事項があるときに確認する範囲は何ですか
点検結果に残る設備名、確認時点、指摘内容を確認し、工事又は整備の経過と区別します。どの行為が含まれるかを一つにまとめず、点検、報告、整備の記録を別の項目として見比べることが大切です。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    消防法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    消防法施行令(laws.e-gov.go.jp)
  3. 3.
    消防法施行規則(laws.e-gov.go.jp)
  4. 4.