消防設備点検の報告は1年に1回か3年に1回か|令別表第一の項番号で調べる
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
消防設備点検の報告は1年に1回か3年に1回か|令別表第一の項番号で調べる
消防設備点検の結果報告は、用途区分により1年に1回または3年に1回ですが、点検自体は別の周期で行います。まず、建物の呼び名から周期を推測せず、消防法施行令別表第一の項番号を起点にして、消防法施行規則第31条の6第3項の列挙へたどります。
点検と報告を管理する義務は、防火対象物の関係者にあります。消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一の現行版は2025-10-01、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6の現行版は2026-06-26であり、以下の内容は2026-09-08に確認しています。
自社の建物の項番号から報告周期を逆引きする
結果報告の周期は、消防法施行規則第31条の6第3項が列挙する令別表第一の項番号で決まります。左端を項番号にした表から確認し、用途名の印象だけで周期を決めないことが出発点です。
| 項番号 | 規則第31条の6第3項の区分 | 結果報告の周期 | 報告先 |
|---|---|---|---|
| (一)項〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項、(十六の三)項 | 第1号 | 1年に1回 | 消防長又は消防署長 |
| (五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項〜(十五)項、(十六)項ロ、(十七)項、(十八)項 | 第2号 | 3年に1回 | 消防長又は消防署長 |
用途の名称ではなく項番号で確認する理由

建物を事務所、ホテル、共同住宅、テナントビルと呼んでいても、結果報告の周期を定める規則は、その呼び名ではなく令別表第一の項番号を列挙しています。たとえば、令別表第一(五)項はイとロに分かれ、(九)項と(十六)項もイとロに分かれます。同じ大きな項番号だけを見てしまうと、イ又はロの区分を取り違えるおそれがあります。
最初に図面、用途に関する届出、入居状況などから、確認すべき項番号を整理します。次に、その項番号が規則第31条の6第3項第1号又は第2号のどちらに書かれているかを確認します。名称が似ている施設を別表上も同じ区分だと決めず、現在の用途と資料を所轄消防本部に確認する手順を残します。
確認用のメモでは、建物の通称ではなく、項番号、イ又はロ、確認した資料の名称を並べます。前回の資料に項番号がある場合も、用途変更やテナント入替えがなかったかを確認します。判断の根拠を残しておくと、次回の報告周期を確認する人も同じ順序で照合できます。
項番号を主キーにすると、用途名が変わっても規則の列挙との対応を保ちやすくなります。反対に、名称だけから周期を決めると、同じ名称で使われている区画の違いを見落としやすくなります。確認できない事項は、所轄消防本部へ確認する事項として記録します。
項番号から報告周期を引く手順(規則31条の6第3項1号・2号の列挙との対応)

逆引きでは、最初に令別表第一で確認した項番号を記録し、次に規則第31条の6第3項第1号と第2号の列挙を照合します。第1号に列挙されていれば結果報告は1年に1回、第2号に列挙されていれば3年に1回です。表を読む際は、項番号の範囲表記だけでなく、(五)項イとロ、(九)項イとロ、(十六)項イとロの枝番を一緒に確認します。
確認の根拠として、別表上の項番号、規則の号、確認した資料の日付を管理表に残します。建物の用途が変わった、複数用途が入った、区画の使い方が変わった場合は、以前の周期をそのまま使わず、項番号から照合し直します。個別の区分をこの記事だけで判断せず、所轄消防本部に確認します。
照合する順番は、項番号、枝番、規則の号、報告周期です。項番号と報告周期だけを書き写すのではなく、どの号に対応したかも記録します。これにより、後で見直すときに、周期の数字だけが独り歩きすることを防げます。
所轄へ確認した場合は、確認日と確認した事項を残します。確認した結果を依頼先に伝える際も、建物名だけでなく項番号と確認状況を伝えます。周期が不明なまま点検と報告の予定を一つにまとめないことが重要です。
用途区分は令別表第一の項番号から確認する
報告周期の区分は、令別表第一に掲げる用途の項番号で書かれています。用途の名称だけで自己判断せず、イとロの分岐と複数用途の状況を資料と合わせて確認します。
| 確認する項番号 | 分岐 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| (五)項 | イ又はロ | 宿泊に関する用途と共同住宅等を分ける |
| (九)項 | イ又はロ | 公衆浴場の区分を分ける |
| (十六)項 | イ又はロ | 複数用途がある建物の区分を分ける |
イとロで報告周期が分かれる用途

令別表第一(五)項では、イが旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの、ロが寄宿舎、下宿又は共同住宅です。(九)項は公衆浴場についてイとロに分かれ、(十六)項は複合用途防火対象物についてイとロに分かれます。規則第31条の6第3項では、これらの枝番が第1号又は第2号に別々に置かれています。
そのため、項番号だけでなく、イ又はロまで記録して初めて報告周期を逆引きできます。用途の実態、入居者の使い方、複数用途の構成は変わり得るため、過去の点検資料に書かれた区分だけを根拠にしません。区分の確認に迷うときは、資料を用意して所轄消防本部に確認します。
(五)項、(九)項、(十六)項のいずれでも、枝番を省略すると周期の根拠をたどれなくなります。管理表では、項番号の列の隣にイ又はロを記載する欄を置くと確認しやすくなります。用途の一部だけを見て枝番を決めず、建物全体の利用状況と照合します。
同じ建物でも、利用方法の変更により確認する資料が増える場合があります。新しい用途を始める前又は入居後には、いつの時点の用途を確認したかを残します。個別の該当性は、資料を基に所轄消防本部に確認します。
枝番は項番号に続けて記録します。
複合用途の建物で確認する項目

複合用途の建物では、建物全体の通称より、どの用途がどの区画に入っているかを確認します。令別表第一(十六)項イは、建物の一部が(一)項から(四)項、(五)項イ、(六)項又は(九)項イの用途に供されている複合用途防火対象物です。それ以外の複合用途防火対象物は(十六)項ロに置かれています。
テナントの入替え、用途変更、空室の利用開始があるときは、前回の項番号を引き継ぐ前に、入居用途、区画の図面、変更の時期を整理します。建物の一部だけの情報から全体の区分を断定せず、所轄消防本部に確認する事項を依頼条件にも残します。確認後は、どの資料を基に項番号を確認したかを記録します。
確認資料には、フロアごとの利用状況、共用部分の扱い、変更予定の有無を含めます。複数の情報源で用途の表現が異なる場合は、どれを優先するかを推測しません。確認前の事項と、確認済みの事項を分けて依頼先に伝えます。
結果報告の周期は、テナントの名称ではなく、令別表第一と規則の列挙の組合せで確認します。前回と同じ建物であっても、入居用途の構成が変わっていれば再確認します。個別の判断を急がず、確認先への質問を整理することが重要です。
確認記録は次回にも使います。
点検の周期と結果報告の周期を混同しない
機器点検と総合点検の周期は、結果報告の周期とは別に定められています。結果報告が3年に1回の区分でも、設備の種類に応じた点検の実施時期を確認します。
| 行為 | 基本となる周期 | 根拠 |
|---|---|---|
| 機器点検 | 6月 | 平成16年消防庁告示第9号第3 |
| 総合点検 | 1年 | 平成16年消防庁告示第9号第3 |
| 結果報告 | 1年に1回又は3年に1回 | 消防法施行規則第31条の6第3項 |
6月・1年の点検と1年・3年の報告を並べて管理する

平成16年消防庁告示第9号第3は、機器点検を6月、総合点検を1年の期間で行うことと定めています。一方、結果報告は規則第31条の6第3項の項番号の列挙に従って1年に1回又は3年に1回です。報告が3年に1回の建物でも、点検を3年に1回にしてよいという意味ではありません。
管理表には、機器点検、総合点検、結果報告を別の行として記載し、それぞれの根拠と前回の実施日を対応させます。設備によっては総合点検の扱いが異なるため、対象設備と点検種別も一緒に確認します。告示第9号の最終改正日は2020-12-25で、確認日は2026-09-08です。
機器点検の予定を確認するときは、前回の機器点検日を起点にします。総合点検は前回の総合点検日、結果報告は確認した項番号と前回の報告日を起点にします。一つの期日だけで三つの行為を管理しないことが、周期の取り違えを防ぎます。
点検結果を受け取った後には、維持台帳に記録する資料と、次回の予定に使う資料を分けて保管します。報告の時期が近いからといって点検の周期を変更せず、設備ごとの確認を続けます。依頼範囲の説明でも、点検と報告を別の項目として示します。
よくある質問
事務所は必ず3年に1回の報告ですか
令別表第一(十五)項の条文上の用途は「前各項に該当しない事業場」で、規則第31条の6第3項第2号の3年に1回の群に置かれています。ただし、個別の建物の用途区分は、利用状況や構成を含めて所轄消防本部に確認します。事務所という通称だけで項番号を決めず、確認に用いた資料も残します(確認日: 2026-09-08)。
同じ建物内に別の用途がある場合は、事務所という名称だけで結論を出しません。項番号と区画の利用状況をそろえて確認します。
ホテルと共同住宅で報告周期が異なるのはなぜですか
令別表第一(五)項は、旅館、ホテル、宿泊所等のイと、寄宿舎、下宿又は共同住宅のロに分かれます。規則第31条の6第3項では、このイとロが異なる号に列挙されています。名称の一部が似ていても、別表上の枝番を確認し、個別の区分は所轄消防本部に確認します(消防法施行令別表第一、消防法施行規則第31条の6第3項。確認日: 2026-09-08)。
確認した枝番は、次回の点検や報告の管理資料にも残します。過去の呼び方だけを根拠にしないことが重要です。
報告の時期は消防署ごとに変わりますか
結果報告の周期の区分は、消防法施行規則第31条の6第3項で定められています。報告先は消防長又は消防署長です。個別の提出時期や提出に関する運用を確認する必要がある場合は、周期の根拠となる項番号を整理したうえで、所轄消防本部に確認します(確認日: 2026-09-08)。
確認する際は、建物の項番号、イ又はロ、前回の結果報告に関する資料を用意します。項番号と関係なく周期を変更するものとして扱いません。
項番号が分からないときは、何を確認しますか
建物の現在の利用状況、入居用途、区画の図面、前回の点検結果や届出に関する資料を確認します。そのうえで、令別表第一のどの項番号に当たるかを所轄消防本部に確認します。建物の通称や過去の説明だけで周期を決めず、項番号とイ又はロを確認してから規則の列挙へ照合します(確認日: 2026-09-08)。
資料がそろわないときは、何が未確認かを記録してから確認します。推測した項番号を確定情報として依頼先へ伝えないようにします。
まとめ
結果報告が1年に1回か3年に1回かを確認するときは、用途名から推測せず、令別表第一の項番号を主キーにします。項番号、イ又はロ、規則第31条の6第3項第1号又は第2号を順番に照合し、点検の6月・1年の周期とは別に管理します。個別の建物の用途区分は所轄消防本部に確認し、確認した項番号と資料を次回の管理に残します。
消防設備点検の法令・制度解説と消防設備点検の義務主体を確認できます。
出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)(laws.e-gov.go.jp)
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)(laws.e-gov.go.jp)
- 平成16年消防庁告示第9号(点検の期間・点検の方法・報告書の様式)(fdma.go.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。消防法の点検・報告義務と費用実勢、点検資格制度について、e-Gov・消防庁・公共調達等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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